ウォーレン・バフェットの教訓 5 

この国の大金持ちは、

50社のポートフォリオ投資で財をなしたわけではない。

彼らの莫大な個人資産は、

ひとつの優良ビジネスを突き詰めることによって

築かれてきた

アメリカじゅうの超大金持ちをくまなく調査して見るといい。

ほぼ例外なく、彼らの財産はひとつのすぐれた事業を通じて形成されているはずだ。

ハースト家は出版で財を成した。

ウォルトン家は小売、

リグリー家はチューインガム、

マーズ家はキャンディ、

ゲイツ家はソフトウェア、

クアーズ家とブッシュ家は醸造

というふうに、このリストは際限なく続く。

そして、巨万の富をもたらしてくれた優良なビジネスから逸脱した場合、

彼らはほぼ例外なく財産を食いつぶすはめに陥ってきた。

映画ビジネスに参入した〈コカ・コーラ〉のように・・。

ウォーレンが投資の世界で成功してこられたのは、

優良ビジネスの経済特性を正確に識別する能力が備わっていたからだ。

ここで言う「優良ビジネス」とは、

揺るぎない競争優位性を、

消費者の心の一部に食い込む形で保有している事業のことだ。

たとえば、私たちはガムと聞くと、

すぐさま〈リグリーズ〉の名前を思い浮かべる。

ディスカウントストアなら〈ウォルマート〉、

冷たいビールなら〈クアーズ〉や〈バドワイザー〉である。

こういう特別な位置づけは、

高名な各企業に強い競争力と収益をもたらすのだが、

近視眼的な性格を持つ株式市場は、

ときとして優良事業を不当に過小評価してしまうことがある。

この点をよく理解しているウォーレンは、

実際に過小評価が発生すると、

おもむろに市場に繰り出し、

資金が許すかぎり当該株を買い集める。

ウォーレンの持株会社〈バークシャー・ハサウェイ〉は、

アメリカの一級ビジネスの数々を、

株式という形で部分所有しているとも言える。

きわめて収益性の高いこれら超優良企業の株はすべて、

ウォール街が見向きもしなかった時期に購入されたものである。

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