道は本来、
名付けることもできない。
道は、言葉でとらえようがなく、本来、名付けることもできない。
道に従って生きる荒削り木のような人は、
身分が低いとしても、これを従属させようとする君はいない。
侯王が、このようなあり方を守りえたなら、
万物はさまに自ら帰順してくるであろう。
天地が調和して、すばらしい甘露をすべての命をもたらす。
民は命令されることなく、おのずから品行を正して秩序を生み出す。
名付けのようのない神秘たる道を、
樹木の枝葉を切りそろえるように制すれば、
それは名付けの可能な道具となる。
ひとたび、名付けうる道具としたら、
その作動の限界をしらねばならない。
限界を知っていれば、危険はない。
道の天下におけるそのありさまは、
小さな谷が大河や大海の源流となっているようなものである。