松下幸之助「一日一話」11月2日

生産者の感激

私が昔、

直接生産に従事していたとき、

新しい品物を代理店に持参してみせると、

「松下さん、これは苦心された品ですね」

と言われたことがあります。

こう言われたとき、

私は無料で進呈したいと思ったほど

嬉しかったです。

これは高く売れて儲かるという

欲望的な意識ではなくて、

よくぞ数か月の作る苦労を

認めて下さったという

純粋な感激だったのです。

こうした感激は、

常に自分の魂と至誠を製品に込める

者のみが味わい得るものだと思います。

そしてそのような喜びに

全社員がひたりつつ生産してこそ

確固たる社会信用を獲得することのできる

製品を生み出すことが

可能になるのではないでしょうか。

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