人の世は雲の流れの如し
青い空に、
ゆったりと白い雲が流れていく。
常日ごろ、あわただしさのままに、
意識もしなかった雲の流れである。
早くおそく、
大きく小さく、
白く淡く、
高く低く、
ひとときも同じ姿を保ってはいない。
崩れるが如く崩れざるが如く、
一瞬一瞬その形を変えて、
青い空の中ほどを、
さまざまに流れてゆく。
これはまさに、
人の心、
人のさだめに似ている。
人の心は日に日に変わっていく。
そして、人の境遇もまた、
きのうときょうは同じではないのである。
喜びもよし、
悲しみもまたよし、
人の世は雲の流れの如し。
そう思い定めれば、
そこにまた人生の妙味も味わえるのではないだろうか。