バフェットは「能力の輪」をしっかりと決め、
輪の外の企業には、どれほど成長し、
利益を生んでいても決して手を出さない。
能力の輪の外の典型がIT企業だ。
「来年1年、すベて時間をテクノロジーの勉強に費やしても、
私はその分野における100番目や10000番目、
いや一万番目に優秀なアナリストにも慣れないでしょう」
と言って手を出さなかった。
この姿勢が大損を生むこともあった。
バフェットはアイオワ州グリネル大学の理事となり、
ある投資の承認を求められた。
集積回路の発明者ボブ・ノイス、
「ムーアの法則」で知られるゴードン・ムーア、
辣腕実業家アンドリュー・グローブがこれから
設立するIT企業への投資だった。
その時バフェットは、
大学の投資は承認したが、
自分は投資しなかった。
そのIT企業とは、後に世界一の半導体企業になる
インテルだった。
これほど巨大な投資機会はなかっただろう。
だが、インテルの成功を目にしても、
バフェットは「マイクロソフトやインテルの10年後はわからない」と、
自分の能力の輪にこだわり続けた。こう言っている。
「独力で考えなかったら投資で成功はしない。
それに、正しいとか間違っているとかということは、
他人が賛成するかどうかとかは関係ない
事実と根拠が正しければ正しい」