農場を買う時に、その値段ばかりを見る人はいない。生産高を見る。
バフェットの生涯の師ベン・グレアムは、
投資をすると共同出資者ミスター・マーケットがついてくると言った。
むろん架空の人物だが、役目は暗示的だ。
彼は投資した株を価格に意見を毎日述べ、
「買い取ろうか」「私の分も売ってあげようか」と提案してくる。
その価格は適切な時もあるが、常軌を逸して不合理な時もある。
そのようにミスター・マーケット、つまり株式市場は、気まぐれあり、
彼につき合って売買をしてはダメだというのがグレムの教訓だ。
バフェットも同じ考えである。
市場には情報があふれ、株価も秒単位で上下する。
それに一喜一憂する人もいるが、バフェットはほとんど関心を示さない。
見るのは投資に値する事業かどうかの一点だ。
14歳の時に1200ドルで購入した故郷オマハの農場を例にこう話している。
「オマハの農場を買おうとする時に、毎日、その値段ばかりを見ている人はいません。
買い値に対して、どれくらいの生産高が見込めるかというところを見るでしょう」
売買を繰り返す土地転がしで儲けたら話は別だ。
だが、通常の投資で利益を得たいなら、見るべきは生産高見込みなのだ。
企業も同じである。生産活動によって得られる収益が重要だ。
買うべきなのは市場の気まぐれで価値が変わる株券ではなく、
永続的に収益を生んでくれる事業なのだ。