売り買いを一度にするのは無分別、二度に買うべし、二度に売るべし
『三猿金泉秘録』の「買米(かいまい)を一度に買ふは無分別、
二度に買うべし、二度に売るべし」からきた相場格言。
これは絶好のチャンス、今を置いて買うチャンスはないと考えて、
すぐにでも買いたくなる時がある。
好材料を耳した時とか、安くなれば買いたいと思っていた銘柄が大きく値下がりした時などがそれだ。
逆に、今売っておかないと、売れないのではないかと思うときがある。
なかなか動かなかった株価が動いて、値上がりした時などだ。
だが、そいう時に慌てて売買すると、
後悔することが多い。
売ったあとは、えてして値上がりし、買ったあとは値下がりすることが少ないからだ。
あるいは買ってはみたものの、こんな銘柄は買わなければよかった、と反省することもある。
だから、昔の相場名人は、そいうときには慌てて一度に売買しないで、二度に分けて売買するとよい、と教えている。
しかし、これは一年間で三割程度しか上げたり、下げたりしなかった江戸時代の米相場でのこと。
株式相場はそれよりはるかに値動きが大きいから、まとまった株数を売買する場合には二度といわず、三度、四度、
五度に分けて売買したほうがよい。
たとえば、五〇〇〇株買いたいと思っても一度に五〇〇〇株も買わないで、最初に一〇〇〇~二〇〇〇株程度を買ってしばらく様子を見、
さらに値下がりした時点(あるいは値下がりしなくても、これならいけると判断した時点)で二〇〇〇株を買い増す、というわけだ。
売りも同様。値下がりして利が乗ったからといって一度に売らず、
最初に二〇〇株程度に売って利益を確保したあと、しばらく様子を見る。
さらに値上がりしたところで二〇〇株売り、残り一〇〇株は天井を打つまで待ち続ける、という方法もある。
このように売買を何度かに分けて行えば、リスクを減らし、チャンスを広げることができる。
外国の有力なファンドマネジャーの中には、買い値から三割値上がりしたら一割利食い、
そのあと、株価が一割値上がりするたびに持ち株を一割ずつ利食っていくという手法をとっているものもある。