株式投資は株式格言に学べ世に銭ほど面白き物はなし

世に銭ほど面白き物はなし

井原西鶴(1642~1693年)は、貨幣経済に発達した貞享から貫禄にかけて作家活動や俳人として活動した人で、

俳人すがたで全国を気ままに旅して「日本永代蔵」、「世間胸算用」、

「西鶴織留」といった町人三部作をはじめ数々の作品を残している。

この言葉は『日本 永代蔵 』の一節で、

当時の人々の金銭感覚が見事に表現されている。

そのころ日本は大阪を拠点に全国規模の商品取引が開花した時期で、

大富豪が続々と誕生し、商人の家に大名クラスの武士が頭を下げてカネを借りに来る時代である。

西鶴のいう金持ちとは、

銀五百貫の預金でそこそこの金持ち。

千貫以上の資産ができて初めて富豪の仲間入りだ。

銀五百貫といえば現在の金額に換算でざっと5億から6億円にそうとうする。

当時はこのクラスの金持ちが続々と誕生したのである。

その気になればカネで苗字帯刀御免の許可を買い、

誰でも、武士になれるのだ。

庶民にとって「銭ほど面白い」ものはないわけだ。

一連の作品に添えられた浮世絵をみると堂島などの米市場では、

相場師のみならず多くの町人で賑わっている。

昔の相場街では、

町人の小遣い稼ぎにその日の相場を予想して5銭、

10銭を賭ける「合百」が公然と行わていたので、

少年や婦人たちの姿も随所に描かれている。

西鶴はこの『日本永代蔵』のなかで、

このような狂乱ぶりに呆れつつ、

「金銀なくては人間として生まれた甲斐がない」として、

「朝起五両、家職二十両、夜詰八両、始末十両、達者七両」を説き、

これを守ればだれでも大金持ちになれると説いている。

「夜詰」とは福業のことで「達者」は健康だ。

大切なのは美食や博打など、

あらゆる無駄遣いを断つことだ。

西鶴はこれを「長者丸の処方箋」と命名。

この文言を珍重したナニワ商人は、

後世様々なアレンジを加えて商家の家訓とした。

これが「算用(計算勘定)」「才覚(ひらめき)」「始末(合理化)」で、

今日はあらゆるビジネスの成功法則として謳われている。

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