相場師の舌を閻魔は持てあまし
この川柳が目指す相場師は、おそらく相場師の格付けでいえばCクラスで、兜町スズメと呼ばれる早耳筋や断片的な理論で相場を張る理屈張りの人たちだ。
下品な相場の張り方はほかにも仕手張り、組張りなどがあるが、
彼らはじぶんが見聞きした材料に尾ひれをつけて相場を囃し、
投資家が喜びそうな材料を誇張して情報商と称して売りつける。
すべての勝負ごとに「たら・れ場」は禁句だが、相場の世界では魑魅魍魎で、これで飯を食っている人も多いのだ。
儲かればは自分の手柄、損をすれば決断したのはあなた!。
これが彼らの常識で、相場の世界ではそれが堂々とまかり通る。
まぁ、それも自己責任の範疇なのだが、
1980年代には、中江滋樹の投資ジャーナル事件や「兜町の風雲児」と呼ばれた加藤暠の整備事件と、
エセ相場師の餌食になるのはいつも投資家だ。
むかし兜町の証券取引所の警備員をしていた男が仕手戦の黒幕で、
出入りする市場関係者や記者kら聞き出したインサイダー情報を集めては投資家を手玉に取った事件もあるのだ。
相場の世界には、ほかにもいろいろな鳥がいて、
無許可で売買注文の媒介を行う「トンビ(鳶」」や巧みに金品をだまし取る知能犯の「青サギ(鷺」」も出没する。
彼らが相場の流が相場の流暢に解説し、娑婆に戻ってもう一度、
勝負させてくれというのだkら閻魔様も呆れるわけだ。
昨今はネットを通じて膨大な銘柄情報が配信され、
これらをもとに投資談義も行われている。
閻魔様といえば「地獄への道hあ善意で敷き詰められている」ということわざもある。
江戸時代の指南書『三猿金泉秘録』は、見ざる・聞かざる・言わざるの三猿を相場の極意とした。
三猿が説く投資家の処世術とは自分がいい加減な情報や戯言に振り回されたくなければ「見たら見流し、聞いたら聞き流し」が一番だと説く。
誰でも自由に投資家情報
やノウハウを見聞きできる時代にすべて無視しろとは言わないが、
静かなる投資家には本物の情報が集まってくるし、周囲に迷惑かけることもない。