ウォーレン・バフェットの教訓 14 

習慣という名の鎖は、

抜け出せないほど重くなるまでは、

軽すぎて存在を感じることが出来ない

これは、英国人哲学者バートランド・ラッセルの言葉をウォーレンが引用したものである。

悪しきビジネス習慣を放置しておくと、水面下で刻々と事態が深刻化し、

手遅れになってからようやく表面化する、という実情を的確に言い当てている。

じっさい、事業が不振に見舞われたとき、とっくの昔に取り組んでおくべきコスト削減を

泥縄式に実行するような場面がよく見られるものだ。

こうした企業は業績好調時に不必要な支出を膨らませてしまったおり、

それゆえ環境が悪化したときには地盤沈下を免れることは出来ない。

経営陣というものは、とかく、いったん思い込んだら

修正がききにくいという性向をもっている。

だからこそ不必要な事業支出が膨らんでいくのかもしれない。

週間にすべて身をまかせたとき、自分がどこに流されるのかを

常にチェックするのが肝要である。

最終到達地点が気に食わない場合は、

そこに流れ着いてしまう前に、

すなわちトラブルの海に船が沈んでしまう前に、

進路を変更する必要がある。

じっさい、ウォーレンはこの進路変更を経験した。

変更前のかれの戦略は、

ビジネスの長期的経済性のいかんに関わらず、

帳簿価格割れした割安株を買うというものだった。

偉大な投資アドバイザー、ベンジャミン・グレアムからヒントを得て

編み出したこの戦略により、

ウォーレンは1950年代から60年代の前半まで大成功を収めた。

しかし、戦略の効き目がなくなってからも、

彼は長い間同じ手法を取り続けた。

習慣という名の鎖は、軽すぎて存在を感じることが出来なかったわけだ。

1970年代の後半、

ウォーレンはようやくグレアムの簿価割れ戦略がもう通用しないことに気がついた。

そして、優良ビジネスの株を適正価格で買い、

長期保有によって事業の価値向上を待つ、

という戦略に切り替えた。

古い戦略はウォーレンを百万長者にしたが、

新しい戦略はウォーレンを億万長者にしたのである。

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