「なぜこの会社を買収するか」という1本の小論文を書けないなら、100株を買うこともやめたほうがいい。
投資には、自分で考えた確固たる理由が必要だ。
「値上がりしているから」「専門家に勧められたから」といった理由で売買する人が多いが、
それでは他人の頭で自分の大切なお金を動かしていることになる。
バフェットが自分で考えることの大切さを心に刻んだのは、
コロンビア大学に在籍していた1950年のことだ。
バフェットはミネソタ州の金物小売業者マーシャル・ウェルズの株を買っていた。
そして、出席した株主総会で、投資家のイルズ・グリーンと知り合った。
株主総会からの帰り、グリーンが「なぜマーシャル・ウェルズを買った?」と聞く。
バフェットはつい「グレアムが買ったから」と答えてしまった。
その瞬間、グリーンはバフェットに「ワン・ストライク」と言った。
「その答えは空振りだ。自分の頭できちんと考えろ」という意味だった。
これ以降、バフェットは2度と同じ過ちを犯さないようになった。
そして、投資家や学生にこうアドバイスするようになった。
「『なぜ自分の現在の価格でこの社会を買収するのか』という題で、
100株を買うこともやめたほうがいいでしょう」
確信があってこそ、市場の動きや周囲の声に惑わされずに投資が出来る。
惑わされていは、いつまでもその他大勢だ。