1994年に、投資銀行ソロモン・ブラザーズ出身のジョン・メリウェザーが、
ヘッジファンドLTCM(ロング・ダ―ム・キャピタル・マネジメント)
を立ち上げた。
投資の25倍のレバレッジ(梃子)を使って利益を生む計画で、
損失は最大でも資産の20%という見通しだった。
レバレッジとは多額の借り入れ金を使って自己資本にテコ入れし、収益率を上げることだ。
バフェットは参加しなかったが、多くの著名人が経営陣に加わったことで、
12億5000万ドルもの資産が集まった。
3年間は順調に見えた。
資本70億ドルにまで増え、
資産を負債もほぼ同額だった。
しかし、98年にロシアが対外債務の支払いを停止を宣言して世界の金融市場がガタガタになると、LTMCも数日で資本の半分を失ってしまう。
メリウェザーは投資家に相場が落ち着くまで我慢すれば大きな利益を得られると伝えた。
だが、それはレバレッジをきかせていない場合のみ通用する話だった。
多額の借り入れをしている投資家に、待つ余裕などなかった。
LTMC二助けを求められたバフェットは、実情を知って驚いた。
「本当に頭のいい人たちが、これまでに何人も痛い目にあいながら学んできたことがあります。
それは目を見張るような数字がずらりと並んでいても、差後にゼロをかけるればゼロになってしまうということです」