静中動あり、動中静あり

この格言は、中国の古典『菜根譚』のなかにある、

「閑中に放過せざれば、忙処に受用あり。静中に落空せざれば、動処に受用あり。」

を相場に引用したもので、

値動きのなかに隠された相場のエネルギーと、

その悟り方を説いている。

かつて堺屋太一氏は「景気に変化の胎動が感じられる」というコメントを残しているが、

胎動とは言い得て妙な表現で、

確かに相場にも胎動が存在する。

外資系証券で働く運用のプロに、

市場に躍り出た銘柄を彼らがどの段階で買っているのか聞いたところ、

おそろしく遠いところで買っていた。

彼は手元の罫線を指さして

「こことここで買うわけですね」と説明するのだが、

理由がさっぱりわからない。

「まあ、僕らはプロですから、買場はわかるのですよ」

と平然と言うのだが、これも変化の胎動か?

相場の転換点を的中させてきた証券アナリストの安田二郎さんは、

町の匂いに敏感な方だった。

酒の匂い、香水の匂い、ゴミの匂い・・カネの匂い。

はじめは「ガラにもなく神経質な先生だ」と思っていたのだが、

安田さんは秋葉原や銀座の繁華街などを歩きながら、

街の匂いで景気の変化を感じ取っていたのである。

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