株には定価がない
株式市況は一般の人が考えるよりも、
上に行きすぎたり下に行きすぎたりするものです。
もし大方の考え通りに動くならば、
金儲けが易しい、あるいは失敗する人が少ない、
また株の世界が面白くないということにもなりかねませんが、
そのようなことはありません。
株というのは行き過ぎる性質を持っているということ、
またそのような動物であるということを頭において
株式投資に取り組むことがまず大切です。
ただ、相場には行き過ぎが起こるといっても、
行き過ぎとはどういう状態なのか、
また行き過ぎの根拠となる妥当値はどの辺りなのかを
説明するのはなかなか難しいものです。
株価にはモノの値段と違って、
定価やはっきりとした妥当水準というものがないからです。
例えば株価が大幅に上昇した場合、
同時にその企業の業績や配当、
先行きの見通しなどが向上していれば、
株価の水準が変わったのであって、
上がったあるいは行き過ぎた上昇とは一概には言えません。
また株価を判断するには、
日本経済の将来性や需給動向までも考慮する必要があります。
漠然とした妥当値
株価を議論するには、このように長期的、総合的な視点で見ることが重要です。
株価の目安としては配当利回りや、株価が一株当たり利益の何倍に買われているかを示す
PERがありますが絶対ではありません。
ただ、株にはこの辺りが妥当ではなかろうかと思われる漠然とした妥当値というものはあります。
日経平均株価からみても、
この辺りが妥当ではなかろうかという世論的な水準もあります。
そういうものも考慮して、株価に行き過ぎが起こっているかどうか、
半年、一年先を先取りし過ぎているのかどうかを判断します。
そしてそれら人気の行き過ぎを逆に利用し、
活用することが大切です。
一方、上に行き過ぎるのも下に行き過ぎるのも相場のうち、
すなわち 行き過ぎもまた相場 であり、
その行き過ぎをやたらに咎めることも
理論倒れになる危険性があり問題です。
この辺の呼吸を踏まえてこの格言を活用すれば、
案外に収穫が多くなります。