老子名言 10月29日

ものごとを知るには、

言葉に頼るな。

私たちは、知る、ということを知りえない。

それは、右手で右手をつかみ得ないのと同じことだ。

私たちは、ものごとを、知らない間に、

暗黙のうちに、知ってしまっているからだ。

ところが私たちは、自分がしったものごとを、

言葉にすることができる。

私たちは、言葉にすることで、

暗黙のうちに、知ってしまったことを、

明らかに知ることができる。

それは、右手の彫刻を作れば、右手で摑み得るのと同じことだ。

ものごとを知るためには、

言葉に頼るのをやめねばならない。

言葉に頼って考えるときには、

知るという暗黙の働きが、止まってしまうからだ。

ものごとを知るためには、

口を閉じて、言葉の門に閉じよう。

己の理知の光を和らげ、

塵芥の類と同化する。

言葉の鋭さを挫き、

もつれあう生の世界を理解しよう。

これが神秘的な同化、すなわち「玄同」である。

このような知に至った者に対して、

言葉に頼って世界を認識する者は、対処のしようがない。

親しむこともできず、害することもまたできない。

貴いとすることもできず、卑しいとすることもでできない。

そのゆえに、玄道の境地に至った者を天下は尊いことになる。

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