個別銘柄の売買には鉄の胃袋が必要だ
バートン・マルキールはインデックスファンドの第一人者で
「ウォール街のランダム・ウォーカ」などの著書で知られている。
マルキーが支持する「ランダムウォーク理論」や「効率的市場仮説」
は、基本的に株価は過去の動きと無関係で動くという立場で、チンパンジー
が株価欄にダーツを投げて銘柄を決る例え話で銘柄投資の危うさを説明した。
経済学者による株価予測はもともとルーレットやバックギャモンなどの
ギャンブル必勝法の研究がベースになっている。彼らは、テクニカル
分析とファンダメンタル分析を信仰する二大教団のあいだに誕生した
新興宗教のようなものでこれらの教団の信者は誰もが市場を崇拝し「神
の見ざるて」と把握できると考えていた。ウォール街の住人は彼らアカデミック
投機グループを「ランダム・フォーク・マフィア」とよんでいたが、ウィリアム
・シャープ、ハリーマーコウィッツ、マートン・ミラーが参戦したLTCM(ロングターム
キャピタル・マネジメント)は、怪物ファンドで市場に挑戦したがロシア危機で
身動きが取れなくなり、あえあなく破綻した。LCTMが破綻した理由はいくつも考えられるが、
いみじくも彼らが証明したのは、市場と握手することは容易なことではないということだ。
市場は起こるはずのない想定外のリスクが唐突に襲い掛かることがあり、誰もが管理できな
い領域だ。市場のグローブル化で頻繁に警報が発せらとアラームそのものが誤作動を起こして
健全な市場を水浸しにしてしまう。システム依存症による驕りが油断しLTCMに
とどめを刺した。さて、学者バカの話はこれぐらいにして、むかしから証券マンを相手にしてきた
兜町の薬局のご主人様は「証券マンはいつもストレスいっぱいで、医薬、栄養ドリンクが欠かせない」
と話していた。日々の相場を見ていれば、誰だって”鉄の胃袋”が欲しくなるが、「はじめは人は酒を
飲み、次に酒が酒を飲む、最後は、酒が人を飲む」という故事もある。酒に休肝日がいるように、
相場にも休日が必要だ。