お金と時間があれば、誰でも投資家になれる
株式評論家の安田二郎さんは私の師匠で、
相場のイロハはもちろんのこと、
お金に関するすべてのことを教えていただいた。
自宅に最新のパソコンがあるというのに、
原稿は日本橋の「はいばら」で買ってきた原稿用紙に書いてから旧式のワープロに打ち直して入稿する頑固モノで、
それを冷やかしてもニコニコと受け流す寡黙な方だった。
この文言はさんがいつも言われていたことで、
ラジオなどでも「カネを粗末に扱えば逃げていって当然だ」と説いてた。
ほとんど人が株式投資に興味を示すのは景気の良いときで、
失ってからその有難さを悟るのだ。
『株も道しるべ』(日本短波放送)のなかで「材料と道具がそろえば誰でも日曜大工になれる。
しかし、できたものが上手いか下手かは別問題で、
プロになるためには相当な修行が必要である」記している。
金と時間をかけてそこそこ上達するものにゴルフや料理などがある。
いずれの世界でもプロは、
景気に左右されることなく立派な仕事をするものだ。
プロとアマの差は、
プロは失ったものを取り戻す能力があるが、
アマにはそれがない。
能力とはどのような状況にも対応できる技能であり、
それは知識でなく知恵である。
生前の安田さんはこよなく兜町を愛し、
職人気質の相場観で多くの銘柄を掘り出した。
相場のプロは場数の踏み方が違うのだ。