感謝祭に買い、新年に売り、クリスマスの借金を払え
この格言は『ウォール街の株価動向』(1966年)の著者A・メリルが、
米国市場の株価を過去69年間にさかのぼり統計学的に検証したもので、
この仮説がジンクスでないことを証明した。
クリスマス商戦や冬物衣料の需給などマクロのイベントに敏感な米国市場では、
株はクリスマスツリーを飾る前に仕込むべきだというのがメリルの主張で、
今日では季節変動を重視する循環投資の古典になっている。
同じことを考えた日本人の相場師に、
対象から昭和の兜町で名を馳せた鈴木隆(1882-1978年)がいる。
鈴木隆は教師から相場師に転じ、
のちに政治家になった経歴の持ち主だ。
鈴木隆が検証したのは28年間の株式相場の高低で、とにかく研究熱心な人だった。
著者の『成功相場大学』(1948年)によると「11月は相場極月であるから、
どのような局面でも買い月であり、人気一新の12月は黄金月である」とある。
したがって他の千両相場は逃がすとも万両・億両相場であるこの2カ月のチャンスは逃すべきではないと独自の理論を展開した。