状況の4分の3は、霧の中
近頃、話題の「行動経済学」や「行動心理学」は、
経済社会のなかでにんげんがどのような行動をとるのかを研究する学問で、
02年ダニエル・カーネマン教授がノーベル経済学賞を受賞したことから注目されるようになった研究だ。
これらの研究は、ちょうどLTCMの破掟で「金融工学」が敗退したのちに入れ替わるように活気づいた分野で、
うがった見方をすれば、のちのサブプイムショックを含め、
金融市つてむの崩壊による数々の損失を、
「行動学」で個々のの良し悪しに転化された感もある。
これらのテキストにしばし登場するのがクラウゼヴィッツの『戦争論』や兵法書の『孫子』で、
人形町の相場師の方も昔から研究熱心な相場師は『戦争論』や『孫子』を読んでいたと話されていた。
カール・フォン・クラウゼヴィッツ(1780-1831年)は、
ナポレオン戦争に貴族階級の家柄ながら少年としてプロイセンに従軍し、
のちに数々の戦場を転戦しながら、
戦争の研究に没頭し『戦争論』を執筆した、
実践経験の持ち主だ。
市場研究者が注目するのはクラウゼヴィッツの情報に関する分析やその扱い方で、
表題「状況の4分の3は不確実性な情報に支配されているというこのような極限状態のなかで正確な意思決定を下すために指揮官に求められる資質を、
クラウゼヴィッツは、
どのような状況でも真実を見抜く「知力」と前進する「行動力」の2点を挙げる。
決断んの連続という点では、
投資も戦闘も行動パータンは似たよなものである。
相場の大局捉えることは容易ではないが、
プロの相場師はどのような状況でも市場で生き残ることを考え、
例えば調子のよい時でも、こんな状態はいつまでも続かないと考えているものだ。
常に相場の匂いを嗅いでいるのはこのためで、
勝負の世界ではこれを「常在戦場」という。
クラウゼヴィッツは、
戦争とは「つねに二つの生きた力(暴力)の対決である」
とも述べている。
なにぶん昔の本なので難解な書物であるが、随所に相場の心得が記されている。