チェス盤の上でチェッカーをしてはいけない
ウォーレン・バフェットとビル・ゲイツがブリッジを通じて親交を深めたことは有名だが、
バフェットは投機とギャンブルの区別を「ギャンブルとはリスクを創出する必要のないときにリスクを創出することだ」と述べている。
投資・投機・ギャンブル、これらをどのように扱うかは、
バフェットの師匠であるベンジャミン・グレアムが1934年にデビッド・L・ドッドと『証券分析』と刊行した時代から論じられてきたことだが、
経済学者のケインズはまれにみるギャンブル狂でありながらこの命題に取り組み、
数々の投機で資産を築き上げながら「美人投票の理論」と展開した。
ウォール街で活躍する現役トレーダーなかにはプロの前職に挙げる人も少なくない。
ブリッジ、ポーカー、バックギャモン、ブラックジャック・・・・・。
彼らの経歴からわかるのは、ギャンブルは運や勘だけで勝てるような甘い世界ではなく、
勝つためには心理学や確率論などの高い知識とあらゆる状況に対応できる経験が求められることがわかる。
この名言は経済学者でマクロ投資が専門のビーター・ナヴァロ氏のもので、
氏が挙げる「投資の原則の一つである。
ナヴァロは市場を巨大なチェス盤にに例えて、
市場全般の方向性を読み、
できるだけ多くのセクタァーのなかから先手を取ることが大切であると説いている。
日本では囲碁や将棋に強い相場師が数多くいるが、
盤上の格闘技といわれるこれらのゲームを好むのは万国共通だ。
調べてみるとチェスの世界チャンピオンが残した名言の中には、
「良い手見つけたら、必ずもっと良い手がある」(ダミアノ)、
「チェスは錯覚との戦(タラッシュ)など、
トレードの参考になりそうな言葉が散見する。
これらを読むと、市場では多くのギャンブラーのなかにいる、
「稼ぐ」と「儲けた」の違いがプロとアマの岐路になるような気がする。