勝つことにばかり知りて、負くるを知らざれば、が街その身に至る
最近の歴史ブームや戦国武将の人気は「戦国BASARA」や「戦国無双」などのゲームに端を発したもので、
昨日、立ち寄って秋葉原のコスプレ衣装専門店では、
直江兼続、伊達政宗、真田幸村、武田信玄、上杉謙信、豊臣秀吉、織田信長といった戦国武将たちの甲冑衣装が一着数万円で売られていた。
ちなみにその店で「当店人気ナンバーワン」と書かれた伊達政宗の衣装はフルセットで3万8000円!の値がついていた。
はたしてこの価格が高いのか安いのかわかりかねるが、
雑談はさておきこの名言は徳川家康のものである。
池宮彰一郎の小説に『逃げろ家康』(朝日新聞)という作品がある。
この作品は少年時代の人質暮らしで、
なにごとにも用心深く行動するようになった家康が「遁げろ」とことで天下を取りになる姿を描いている。
池宮氏は家康が天下を取りなれたのはこの用心深くさにあったと評する。
たしかに家康がの合戦を振り返るとその多くが確実に勝てるときでなければ「勝負」に出ない。
相場も同様で、
心どこかに「ここで勝たなければ」という焦りがあるときの「勝負」は負ける確率が高くなる。
若者に人気の伊達政宗も用心深させ戦国時代を生き抜いている。
池宮氏の先輩にあたる海音寺潮吾は『伊達政宗』のなかで、
政宗の奇抜な衣装や行動はすべて秀吉や家康などの絶対の勢力に対する用心から生じた演出であるとする。
やはり賢い武将はやたら勝負をしないものなのだ。
ところで兜町で伊達政宗といえば立花証券を創業した石井久氏が有名だ。
石井久氏は「独眼流」の異名で数々の相場を的中させた相場名人で、
石井久氏の相場の張り方は、
大勢をじっくり検討して6割から7割の確率で勝てると判断したときに限り出動した。
出動しても読みのはずれを感じれば迷うことなく退却して、
つぎなる出動の備えをしたという。
市場を勝負の世界とするならば、
勝負は世界はどのみちも険しいものである。
スポーツ勝負は体力や精神力が勝敗の決め手となるが、
相場の世界では戦国時代の戦と同様に資金力と決断力が先行し、
最終的に「運」がこれらを支配する。