株価の変動とは、何百万もの男女が、どう感じたかの記録である。

バーナード・バルーク

バーナード・バルークは、ボクサーになるつもりで出てきたウォール街で

相場にであったことから、

ウォール街で過ごすことになった米国の投機家だ。

その生涯は一介のトレーダーとして戦前戦後の大相場を駆け抜けて、

最後は歴代の大統領顧問んとして政財界に君臨した。

「株式相場の変動に記録されているのは、

ありのままのできごとではなく、人間の反応である。

それらの出来事が彼らの将来に及ぼしえる影響について、

何百万もの男女がどう感じたかの記録である。

つまり、株式市場は人間そのものなのである。」

現役のトレーダーのラース・トゥヴェーデは、著書のなかで、

バルークの言葉を引用して市場における群集心理を説いている。

なぜならバルークは全世界が恐慌時代に突入した1883年に投機をはじめ、

後に起きたすべての金融恐慌を群集と共に歩んできたからだ。

相場は否応なしに人間の恐怖と強欲をむき出しにする非常な世界である。

人間はこの厄介な相場を制するためにどのように行動するべきか?

哲学者にして詩人のエマソンは『マキシム』の中で、

「偉大な人物は、群集のなかにあり

孤高の精神を持ち続けることが出来る人物である」

と記している。

バルークはこの言葉を相場の世界で実践した人で、

1901年のノーザンパシフィック株の空売りや

大恐慌に突入する直前の売り抜けといった

大相場を孤高の精神で生き抜いた。

バルークにはその生き様を後世に伝える逸話がいくつかある。

1929年の「暗黒の木曜日」の直前にすべてのポジションを閉じ、

前後の売買で莫大な利益を確保したが、

それはウォール街の靴磨きの少年が株の話をしたことで

相場が臨界点に達していると判断したからだと伝えれている。

この伝説は世間の非難をはぐらかす出任せなのかもしれないが、

バルークが常に相場に対して畏怖と敬意を払っていたのは紛れもない事実で、

常に「大衆」を意識した投機家であったことを示している。

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