生産者の感激
私が昔、
直接生産に従事していたとき、
新しい品物を代理店に持参してみせると、
「松下さん、これは苦心された品ですね」
と言われたことがあります。
こう言われたとき、
私は無料で進呈したいと思ったほど
嬉しかったです。
これは高く売れて儲かるという
欲望的な意識ではなくて、
よくぞ数か月の作る苦労を
認めて下さったという
純粋な感激だったのです。
こうした感激は、
常に自分の魂と至誠を製品に込める
者のみが味わい得るものだと思います。
そしてそのような喜びに
全社員がひたりつつ生産してこそ
確固たる社会信用を獲得することのできる
製品を生み出すことが
可能になるのではないでしょうか。