三割の高下には向かえ

戦前の格言再び

この格言は、戦前ではごく一般的に用いられていました。

100円の株が30円上がるとひとまず利食うというように、

3割の高安を目安にしておくとおおよそ間違いがないということを表しています。

戦前は株が上がっても3割くらいが限界で、

2倍にも3倍にも上がるということはめったにありませんでした。

戦争や大地震などの特殊現象が生じた場合は別でしたが、

普通の変動の中では株価は3割位を一応の目安に動いたので、

この格言がものを言いました。

しかし戦後は、この格言に従った方はあまり成功しませんでした。

3割くらいの変化がせいぜいという戦前と違い、

3倍、10倍、100倍という大きな変化の時代に変わったためです。

三割の高下に向かえ をはじめ 利食い千人力 だとか

三月またがりの六十日が一相場 だとか

そういう戦前の格言・教訓が当てはまらない世の中になりました。

戦後は企業が増収を繰り返し、

利益も一年で5割も10割も増えました。

3割を利食いの目標にしてはならず、

2倍、3倍、10倍もありうる時代に変わりました。

ところが昭和48年にオイルショックが起こり、

いわゆる高度成長が終わりました。

エネルギー面から以前のような成長が難しくなったのです。

強気一辺倒で当たる時代が終わり、ここで再び、

戦前の格言が役立つ時代に変わり始めました。

私はどちらかというと万年強気な考え方の持ち主ですが、

オイルショックを転機に戦前的な傾向に変わっていくと考えました。

3割の下げは買い時

これからは 三月またがりの六十日 ぐらいが一つの相場になるでしょう。

半年も1年も続いて上がることはないし、

全面的に上がるということもありえません。

そういうように徐々に戦前の経験や格言が役立つ時代に変わってきました。

そのうちの一つである 三割の高下には向かえ は、

利食いは3割位を目安にしてやることを教えています。

もちろん3割下げたら買い向かうのも一案です。

そういう意味では昨今の株安の中で、

3割がらみ下がっている株をそろそろ買ってみるのもよいでしょう。

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