トラブルから抜け出すよりも、
トラブルを避ける方が簡単だ
違法な金儲けがばれて後始末するよりも、
違法な金儲けの誘惑をはねのけるほうが、
はるかに簡単である。
トラブルを避けるためには、
正しいことを正しいときに行うだけでよい。
いっぽう、トラブルから抜け出すためには、
大量の資金と大量の法的才能を注ぎ込まなければならず、
たとえしっかり注ぎ込んだとしても、
長期間の服役を免れるとはかぎらない。
ウォーレンがこの教訓を痛感したのは、
米国系証券〈ソロモン・ブラザーズ〉に投資した7億ドルが危うくパーになりかけたときだ。
社内トレーダーの一人が手っ取り早く儲けようとして、
違法な債権取引に手を染めた結果、
連邦準備銀行が〈ソロモン〉の廃業を決定する寸前までいったのである。
このトラブルから抜け出すために、
〈ソロモン〉はどれほどの犠牲を払っただろうか?
トップトレーダー数名は職を失い、
会長とCEOは退陣を余儀なくされ、
会社は天文学的な法務支出、罰金、訴訟費用を払う必要に迫られた。
初めからトラブルを避けていれば、
手間の面でも財政の面でも、
〈ソロモン〉は大きな節約を出来ていたはずだ。