法外な買値や売値を提示することを
決して恐れてはいけない
ウォーレンが看破しているとおり、
人々は高すぎる売値を提示したとき、
もしくは、低すぎる買値を提示したときは、
相手に鼻白まれのではないかという恐れを抱く。
誰だって、がめつく見られたくはないし、
また、けちくさく思われたくもないからだ。
しかし、ビジネスの世界では、
売却時にどれだけの金額を受け取ることが出来るか、
もしくは、購入時にどれだけの金額を支払わなければならないか、
という点が損と得の分かれ目となる。
ここでの振る舞いが、
最終的なふところの暖かさを決定づけるのだ。
高すぎる売値を提示しても、
先方との交渉の過程で下げていけばよい。
低すぎる買値は、交渉の過程で上げていけばよい。
しかし、忘れてはならない。
いったん提示した低い売値を、交渉の中で上げていくのは不可能であり、
いったん提示した高い買値を、
交渉の中で下げていくのも不可能なのである。
実際ウォーレンは、価格の折り合いがつかないという理由で、
数多くの交渉から手を引いてきた。
最も有名な例は、〈ABC〉回収をめぐる、
メディア会社〈キャピタル・シティーズ〉との取引だろう。
ウォーレンは、当時小さなケーブルテレビ会社だった〈キャピタル・シティーズ〉と組んで
三大ネットのABCを買収する話を進めていたが、
出資金に見合う量の株が配分されないとわかると、
早々に交渉を打ち切った。
すると翌日、〈キャピタル・シティーズ〉側は白旗を掲げ、
ウォーレンが望むとおりの条件を吞んだのである。
とにかく、条件を提示しなければ話は始まらない。
受諾されるにせよ、拒絶されるにせよ・・・。