われわれは投資先にあれこれと口出しする気はない。相手を変えようとする手法は、投資でも結婚でも、事態を悪化させるだけである。
経営者が有能であっても、ビジネスの根源的経済性は一定に保たれる場合が多い。優良なビジネスは、
誰にも経営されようと好業績をあげ、脆弱なビジネスは、どんな辣乱経営者をトップに戴いても、凡庸な
業績しかあげられないのだ。この点をウォーレンはよく理解している。過去百年以上のあいだ、<コカ・
コーラ>は延べ数十人の玉石こんこうの経営者にひきいられてきたが、現在でもビジネスの秀逸さを維持
している。<ワシントン・ポスト>の場合も、伝説的な発行人兼社主、キャサリン・グレアムを失ったにも
関わらず、ビジネスの優良性は失っていない。対照的に、自動車社会と航空会社は何十年ものあいだ、
どのようなやり手経営者を迎え入れても、問題山積のビジネスという実態から脱せずにいる。投資先に選ぶなら、
だんぜん優良なビジネスだ。たとえ天才によって経営されていても、脆弱なビジネスは避けたほうがよい。