いい経営者は朝目覚めたとき、開口一番、「さあ、今日張り切ってコストを削減するぞ」
などとは言わない。これには、「今日は張り切って息をするぞ」ぐらいの意味しかないのである
疫病にかかってからワクチンを接種しても遅い。しかし、ビジネスの世界では、嘆かわしいことに対症療法的な経営がまかり通っている。対照的に、ウォーレンが信奉する予防的な経営者では、潜在的トラブルが現実的トラブルになる前に手を打っている。初めからコストを低く保っておけば、競合他社に挑まれたときの備えができるうえ、業績
好調な時にはおのずと利幅が厚くなるのである。ウォーレンが〈バークシャー・ハサウエイ〉の本社に配置しているのは、無駄のかけられない17名分の”オフィス機器”だけ。彼は他人に説いたことを自分で実践する男なのだ。