投資家を破滅させるのは経済ではない。投資家自身である
株から株へと無節操な乗り換えを続ける。株価を裏付ける実収益がなく、近い将来の暴落が確実なビジ
ネスを、実際の価値とかけ離れた値段で買う。取引手数料で財産をどんどん目滅りさせ、資産マネジャー
のひところをその分だけ暖かくする。投資先をくわしく調査するという宿題を怠け、ファンダメンタル
ズが良好な銘柄ではなく、市場で人気化している株にやみくもに飛びつく。お手軽で手っ取り早い儲け
話の味が忘れられず、返済能力以上の資金をギャンブル的な投機につぎ込む。株価を押し上げる祭りがす
べてに終わり、自分だけが取り残されたのではないかとパニックに陥り、笑ってしまうほど安い値段えで
持ち株を手放す。株式投資とはビジネスの一部を買うことであるという合理的な考え方をとらず、感情に
まかせた投資を行う。近視眼的な利益追求にとらわれ、ビジネスの長期的経済を見失う・・・。投資家を
破滅へと導くのは、以上に列拳したような投資家自身の行為である。GNPの変動や、消費者物価指数の
推移や、○・25%の金利引き上げではない。