世の中には、頭が悪いために投資でしくじる者も多いが、頭が良すぎて失敗するもの劣らず多い。
『新ファンド・マネジャー』(ジョン・トレイン著)に出てくる言葉。
その理由として、同書は知的な人々は、複雑な派生商品のように見事に構築された抽象的概念に魅かれやすく、
その結果、単純明快で基本的な心理からついつい目を遠ざけてしまう」と言う。
相場の世界は、上がるか下がるか二つに一つの予想を的中させるだけで成否が決まる。
だが、この単純明快な選択が実に難しいのだ。
いくら多くの人材を投入し、最新端のコンピュータを駆使しても予想を毎回ぴたりと的中させるのは至難の業だ。
時にコンピュータよりも、人間個人の直感のほうが、
はるかに的中させることも少なくない。
コンピュータは統計数字をうまく読みこなすことはできるが、複雑な人間心理まで読みこなすことはできないからだ。
頭が悪くて投資にしくじる人は、ろくに相場の研究もせず、
他人任せで投資して失敗したり、自己流で投資して失敗するケースが多い。
一方、頭が良すぎて失敗するのは、あれこれ考えすぎた結果、迷いに迷って、
みんなと同じ無難な道を行こうとするためだ。