長期間にわたって儲け続けたテクニカル・アナリスの存在など聞いたこともなく、着実に儲けた短期トレーダーは一人しか知らない。
『ファンド・マネジャー』(ジョン・トレイン著)に出てくる言葉。
これは著者(トレイン)が出会った投資家(ファンド・マネジャーなど)の一致した意見だ、と言う。
相場が常に理論通りに動くのであれば、理論家はすべて相場で大成功を収め、
大金持ちになる。
しかし、現実の相場はなかなか理論通りに動かず、突発的な出来事のおかげで相場の流れが一八〇度ガラリと変わってしまうことも少なくない。
その結果、それまで営々と築き上げた利益をたちまちのうちに吐き出してしまうことは、
多くの投資家が経験していることだ。
それは素人の投資家に限らず、テクニカル・アナリストやトレーダーなどの専門家もみな同じことだ。
ましてや、職業として投資を行っていると、難しい判断・決定を年に何十回もしなければならない。
そのすべてに間違わないことは不可能なことである。
個人の投資家であれば、難しい相場展開が続いている時には、
一年でも二年でも相場を離れて、
「休む相場」を決め込むこともできるが、
職業として株式投資をしている人には、何年も株式投資を休むことが出来ない。
このため、いつか暴落に見舞われて、それまでの利益をすっかり失うばかりか、
大きな損失を出すことになりやすい。
相場で成功している人に共通していることは、
買うべき時に買い、売るべき時に売り、
休む時に休んでいることだ。
休むことのできないテクニカル・アナリスト、短期トレーダーはいくらテクニックに長けていても、長期間にわたって儲け続けることは至難の業だ。