知ったらしまい
日本の有名な相場格言の一つ。
相場師、田附政次郎の言葉と言われている。
情報はみんなが知ってしまったら、もう情報ではなく、ただの知識に過ぎない。
だから、新聞やテレビなどで好材料が発表されてから、あわてて関連会社の株を買うと、
予想に反して値上がりしないばかりか、逆に値下がりした、ということがしばしばある。
それは、すでにその好材料が出ることを市場関係を知っていて、
事前に株式を買っており、マスコミに報道された時点で、「好材料出尽くし」ということで売ってくるからだ。
株式市場には、さまざまな噂が飛び交っている。
その噂はセンミツ(線の噂のうち本物は三つしかない)と言われるほど、
ガセネタも多いが、かなり確度の高い情報も混じっている。
時には、、「この情報は何日後も某新聞に出る」ということまで証券会社でキャッチしていることすらある。
新聞記者は情報源の一つとして証券会社を利用しており、証券会社でもその記者から情報を得ているからだ。
このため、マスコミが報道した時には、証券界では大方の人のが事前に知っていた、
ということも起こるのだ。
また、材料は噂の段階のほうが夢がある。
たとえば、三〇%程度の増益予想が噂されると、
噂は尾ひれがついて、いや五〇%ぐらいの増益になりそうだとか、
利益倍増の可能性のある、などと噂が一人歩きだし、それが株価の刺激する。
ところが、会社が正式に三〇%増益を発表すると、その数字はすでに株価に絞り込み済みで、
株価は無反応だったり、逆に値下がりする。
このように、情報もみんなが知ったらおしまい、ということが少なくない。