理論家は理路整然と曲がるなり
インテリ相場師と呼ばれるファンド・マネジャーは、
いろいろな理論を研究をし、理詰め(運用)を行っている。
これは理屈に合わない投資を行っていると、
失敗した時に申し開きができず、責任を取らされる可能性があるためだ。
つまり、彼らが投資理論をいろいろ研究するのは、
運用成績を上げることもさることながら、失敗した場合、
なぜ間違ったかを理路整然と説明して、失敗が不可抗力によるもので、
自分の責任ではないことを上司に納得してもらうためである。
いくら最新鋭のコンピュータにあらゆるデータを詰め込んで分析しても、
相場の将来をピタリと正確に見通すことなど不可能なことである。
むしろ、相場の世界では動物的勘とか、
勘コンピュータと呼ばれる人間の直感がものをいう場合が少なくない。
理論家も理論家でない人も、
誰だって相場で間違うことはしばしばある。
間違った場合、理論家でない人は、間違った理由などづべこべ言わず、
笑い飛ばすか、悔しがるか、がっかりするかだ。
しかし、理論家は間違った理由をるる説明して、
間違ったのは自分の理論ではなく、
相場のほうだということを理路整然と解説する傾向がある。
「理屈上の商い下手」「理屈に勝って相場に負ける」
「理屈に負けて相場に勝て」なども、
理屈に頼りすぎる人を揶揄する相場格言だ。
『相庭高下傳(そうばこうげでん)』にも「口功者の商下手」(口上手の商下手)
という言葉出ている。