小利大損
『相庭高下傳』に出てくる言葉。
目先の小さな利益ばかり追いかけていると、
大きな損失を出すことになる、という教えだ。
たとえば、指し値で一円でも安く買おうとして買いそびれ、大儲けのチャンスを逃したり
一円でも高く売ろうとして、利食いのチャンスを逃すことはよくある話だ。
また、株価が二倍、三倍になるだけの材料や人気があるのに、
確実に利益を確保しようとするあまり、
一~二割程度の値上がりで、さっさと利食ってしまうのも小利大損という言葉が当てはまるだろう。
アメリカでは、企業の実体価値、将来性などのからみて割安な株を買って、
それに長期にわたって持ち続けることが株式投資の秘訣として、
それを実践して、大きな成果を上げている投資家が少なくない。
これがいわゆるバイ・アンド・ホールドという投資法だ。
その一方で短期間のうちに目まぐるしく売り買いしているデイトレーダーと呼ばれている人達がいる。
これらの人達は値動きの激しい銘柄が値下がりしたら買い、
少し値上がりしたら売るということを繰り返している。
このようなデイトレーダーの七割は損しているという調査結果が、アメリカで出ている。
日本でも日計り商いを戒める相場格言がある。
たとえば、『宗久翁秘録』には「一日の相場を教え、商いを致すものはよろしからず」
と書かれている。
また、相場では一〇〇戦のうち九九勝しても、わずか一敗で、
九九勝で得た利益をすべて失うこともある。
小さな利益を重ねて、財産を少しづつ増やしていっても、
大暴落に見舞われて、最後に資産の三分の一、五分の一に激減することもあるからだ。
大暴落をいかに避けるかが、株式投資で資産で残せるかどうかの大きなカギを握っている。
そのためには、天井近くで株式を買わず、
持ち株をすべて売却し、休む相場を実践することが何よりも大切だが、
これなかなかできず、大暴落でそれまでの儲けの大半を失う投資家が多い。