小さな益を上げて、大きな利益を捨つることなかれ。小の益を取りて、大きなる損を求むることあり。
三井八郎右衛門が残した「三井家の家憲」の一つ。
目先の小さな利益にこだわっていると、
将来得るであろう大きな利益を失ことがある。
小さな利益を取ってしまった結果、大きな損を招くこともある、
そうことにならないよに注意せよ、ということである。
商売でも、暴利をむさぼれば客に見放されて、商売は成り立たなくなる。
株式投資でも、大きな上昇相場では、
目先の利益ばかりを追いかけて目まぐるしく回転商売をしているより、
良い株をずっと一~二年持ち続けているほうが、
大きな利益を上げることが多い。
相場で値下がりに転じたあと、株価が戻ったら売ろうなどと考えていると、
戻りらしい戻りのないまま株価が下げ続け、売るに売れないまま持ち続け、
そしてどうしようもない安値になってからやっと諦め、
投げ売りする投資家も少なくない。
小さな損は、相場が多少戻せば、何とか穴埋めできると考えて、
なかなか損切できない。
ところが、元本が半値ぐらいになる大損をすると、もう完全に諦めがついて投げることができるのだ。
人間は希望を持っている間は、なかなか諦めがつかず、
見限ると決心がつかないが、絶望的になると、大胆に行動に移すことができるものだ。
だが、株式投資では、希望を持っているうちに早くに見限って、
損を最小限度に食い止める必要がある。
そして、誰もが絶望的になった大底圏で買いの準備に取りかからなければならない。
株式投資では小さな益にこだわると、大きな益をなくし、
小さな損にこだわると、大きな損を招きやすい。
「一文吞みの百知らず」「損して得取れ」という格言もある。